老人ホーム紹介センター東海の小川です。前回の続きです。現在、日本で成年後見制度を利用している人は、約20万人だそうです。年間数千人程度増加していますが、申し立て数はここ5年間、約3万5000人と横ばい、近いうちに利用数の増加は収束する予想だそうです。本格的な高齢化社会を迎えるにあたって、成年後見制度の利用が低調であることから、平成28年「成年後見制度の利用の促進に関する法律(促進法)」が成立しました。促進法は、成年後見制度の基本理念を確認し、国や地方公共団体が基本理念にのっとって成年後見制度の利用を促進に関する施策を実施する責務があるとしています。
成年後見制度は、本人の判断能力の不十分さの度合いに応じて、成年後見、保佐人、補助人、任意後見といくつかの制度があります。本人が必要とする援助の度合いが違いますから、成年後見、保佐人、補助人ではできることが違います。成年後見は、判断能力のほとんどない人が利用する制度ですから、成年後見人には、身上保護、財産管理のすべてにわたって法律行為ができる代表権が与えられます。保佐は、判断能力が残されている人が利用する制度ですから、保佐人には、不動産の売買、遺産分割など、民法で決められた重要な行為のみ、本人が望んだ場合のみ代表権が与えられます。補助は、判断能力の不安があるとはいえ、著しく劣っているわけではない人が利用する制度ですから、補助人には、当然同意権・取り消し権・追認権は与えられていなく、その範囲はさらに狭いのです。また任意後見制度は判断能力のあるうちに先をみこして自分の援助者になってもらいたい人と、公証役場において公証人が契約に立ち合い、本人の意思を確認して作成する「公正証書」により契約締結をします。任意後見契約は、本人の財産を全部及び身上監護を任せます。将来、実際に判断能力が不十分になったとき、家庭裁判所により任意後見監督の選任を申し立て後見人の権限濫用を防ぎます。と、なかなか厄介なことです。最後まで自分で判断できるよう心がけたいものです。私は、規則正しい生活リズム、バランスがそこそこ取れた食事、社会との関わりを保つ(遊び・地域活動・趣味・ボランティア等)こと、適度に体を動かすこと、心穏やかすること(寛容になること、感謝すること)で予防できるのではないかと思っています。・・・・・・しかしもし認知症になったら家族・友人・包括支援センターなど早目に相談することが肝要と思います。